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第12話 三原

Penulis: 月歌
last update Terakhir Diperbarui: 2025-07-14 10:53:07

(三原進 視点)

花屋『かさぶらんか』が売れた。

地下の風俗店も、まとめて。

そして――付属品だった俺も、売られた。

『かさぶらんか』は、かなりの安値で出ていた。それでも、まさか俺と同じ年齢の男が買い手になるとは思わなかった。

速水の今の姿は知らない。

けれど、過去の速水のことは、よく覚えている。

◇◇◇◇

俺は、随分昔に一度だけ、あいつに会ったことがある。

母が「初物を手に入れた」と嬉しそうに話していたのを、今でも覚えている。その当時の俺はもう母親の商売を理解していた。

だが、"初物"の速水は自分がこれから何をさせられるのか、理解していない様子だった。母親から教わる『アナル』という言葉さえ知らぬようで、困惑の表情を浮かべていた。今から男たちに犯され、性奴隷に堕ちるとも知らずに、速水は熱心に母親の言葉に耳を傾ける。

ーー今までも、そんな子供はたくさん見てきた。

それが俺の日常で……それでも、速水の事を覚えていたのは、やつが俺好みの容姿をしていたからだ。今も昔も男に興味はないが、それでも、速水は……とにかく可愛らしかった。まあ、それだけならきっと俺の記憶には残らなかったと思う。

俺の記憶に残った原因はーー速水が勤務一日目で店を辞めたからだ。あいつは俺のおやじに店で犯され、その日の内におやじに手を引かれて店を出ていった。

速水が親父の囲い者になった――

そのことを、悔しそうに母から聞かされたのは、それから数日後だった。

母は、死ぬまで速水のことを口汚く罵り続けた。「あいつが自殺未遂なんてするから、お前の父親に見限られたんだ」そうやって、何度も俺に恨み言をぶつけてきた。俺にとって、そんな母の存在は鬱陶しくて仕方なかった。

親父に見放されてから、俺たち親子の生活は一変した。

『かさぶらんか』の経営は傾くばかりだったのに、母は意地でも店を閉めようとはしなかった。

たぶん、それは親父への意地だったのだと思う。

元愛人としての、見返してやりたいという意地。

「あなたの助けなんかなくても、私は立派にやっていける」

――母は、そう言いたかったのかもしれない。

けれど、現実はその逆だった。

母は借金まみれの『かさぶらんか』を残して、死んだ。

……結局、俺はそのつけを払わされることになった。

『かさぶらんか』は、付属品の俺ごと売りに出された。もしも店がいい値で売れなければ、俺は内臓を切
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